人の成長は、リーダーの成長から始まる──組織が変わった私の実体験

テオドール株式会社 代表の西村です。
日々、組織づくりや人材育成に取り組む中で、経営者としてたくさんの壁にぶつかってきました。
今回はそんな経験や反省をふまえて、「これからの時代、リーダーがどんな意識で人と向き合うべきか」について、私なりの視点でお話しさせていただきます。
小さな組織だからこそ直面した悩みや、そこから得た気づきが、同じように組織づくりに向き合う誰かのヒントになれば嬉しいです。
目次
「社長のお手伝い」から抜け出せなかった、あの頃の組織
私がコロナ禍で事業の転換を試みたとき、最も苦労したのは“制度”でも“ノウハウ”でもなく、「人の意識」でした。
当時、事業の全体像を把握し、ほとんどの業務を担っていたのは私自身でした。従業員たちは、どちらかというと「社長のサポート役」という位置づけで、自分が担うべき役割という意識はあまりなかったと思います。
ミーティングで新しいサービスや事業展開を提案しても、反応はどこか他人事。指示しても「言われたことをとりあえずやる」という姿勢にとどまり、なかなか主体的な動きにはつながらない。
私はその様子に、もどかしさと不安を感じていました。
変えたかったのは“空気”。だから、新しい風を入れた
そこで私は、思い切って行動に出ました。
既存の人数の倍にあたる、新しい人材の採用を決めたのです。
やる気に満ちた新しい風が加わることで、組織の“空気”が少しずつ変わっていきました。
これまでとは違う視点、異なる価値観、新しい発想が加わり、それが既存の従業員たちの意識にも影響を与え始めたのです。
結果的に、それは「改革のきっかけ」になったと思います。
でも、時間が経ってからわかったことがあります。
そもそも変わるべきだったのは、私自身の意識でした。
「うまくいかないのは、私の未熟さだった」
新しいことを考えるのは得意でも、それをチームに“伝える力”“任せる力”が足りていなかった。
誰よりも先を見ていたつもりでしたが、それをどう共有し、どう巻き込むかという視点が抜け落ちていました。
私は、リーダーとしての自覚が浅かったのです。
- なぜこの事業に取り組むのか?
- どんな成果を目指しているのか?
- 誰に、どんな役割をお願いしたいのか?
- その人に必要なスキルは何か? どう学べばいいか?
そうしたことを、論理的に説明し、段階的に伝え、任せるべき業務には責任をもって指導する。
そして、困ったときには一緒に考える。
それらを意識して行動し始めたとき、組織は少しずつ変わっていきました。
私が変わったから、仲間も育った
私自身が、途中で諦めずやり遂げる姿勢を見せる。
「どうせ社長の気まぐれでしょ」と思われないように、本気で向き合い続ける。
一緒に考える。一緒に乗り越える。そうした積み重ねが、やがてメンバーの中に「自分の仕事」としての自覚を生んでいきました。
そして今、当時の仲間たちは、自分の頭で考え、課題を見つけ、行動できる人材に育ってくれています。
それを見てようやく、私は気づきました。
小さな組織こそ、リーダーの意識や姿勢が、社員一人ひとりの成長や働き方を大きく左右する。
働き方改革の第一歩は、トップの“あり方”から
人が育たないのは、制度の問題だけではありません。
やる気が見えないのは、社員側の責任とも限りません。
経営者自身が「変わる覚悟」をもって関わり方を見直すこと。
それが、働き方改革の“本質”なのだと思います。
まだまだ私も発展途上です。
でも、だからこそこれからも、自分自身の姿勢を問い続けながら、組織の成長をともに目指していきたいと思っています。
最後に:これからの時代に必要なリーダーとは?
立派なスキルや完璧な戦略よりも、
「一緒に挑戦する姿勢」や「ともに悩む覚悟」こそが、信頼されるリーダーの条件。
そんなふうに考えるようになったのは、自分自身の“失敗と気づき”があったからこそ。
この経験が、どこかの経営者やリーダーの背中を、少しでもそっと押せるものであれば嬉しいです。