「画像作って」だけでは育たない。デザインが苦手なスタッフに制作指示を出すときのコツ

「SNS用に画像作って」
「この動画、投稿用にいい感じにお願い」
中小企業では、こういう指示、よくあります。

でもそれ、適切な指示ではありません。

しかも、相手がデザイナーでもマーケッターでもない場合、この曖昧さはかなり残酷です。
制作経験が少ない人にとって、一番難しいのは「0から考えること」。
何を見本にして、何を基準にして、どこから手をつければいいのか分からない。

だから手が止まる。
時間もかかる。
仕上がりもぶれる。
本人の自信もなくなる。

一方で、上司や経営者側は「なんで進まないの?」となる。

でも、進まないのは能力だけの問題ではありません。
“進めるための材料”が足りていないだけです。

未経験のスタッフに必要なのは、センスを求めることではありません。

  • まずは、真似していい見本。
  • 次に、作る順番。そして、
  • 判断する基準です。

これがあるだけで、制作はかなり前に進みます。

逆に言えば、それがない状態で「画像作って」は、泳ぎ方を教えずに海に放り込むようなものです。

今回は、横型動画のコンテンツをSNSで発信する際に使う「フレーム画像」や、告知バナーのような画像を制作する工程を例に、デザインスキルが高くないスタッフにどう指示を出せばいいのか、そのコツを整理してお伝えします。


まず前提。「センスがない」のではなく、「型がない」

制作が苦手なスタッフを見ると、つい「デザイン向いてないのかな」「感覚がないのかな」と思ってしまうことがあります。

でも、多くの場合そうではありません。
足りないのは、センスより先に“型”です。

たとえば料理でも、いきなり「いい感じの一品作って」と言われたら困ります。
でも、レシピがあれば作れる。
盛り付けの見本があれば、かなり近づける。
画像制作も同じです。

特に未経験者は、頭の中に比較対象が少ない。
だから「良い」「悪い」の判断軸が育っていません。
この状態で自由制作をさせても、苦しいだけです。

なので最初にやるべきことは、自由に作らせることではなく、
“真似してよい土台”を用意すること。

ここでAIはかなり使えます。

今は、参考にしたい雰囲気や構図を言語化して、サンプルのたたき台をAIで出すことができます。
未経験の人がいきなり正解をひねり出すのは難しい。
でも、サンプルが1つあるだけで、「ここを少し変えればいい」に変わる。


デザインが苦手な人に、いきなり“創作”をさせない

管理する側がやってしまいがちなのが、
「任せた方が育つ」
「自分で考えた方が力になる」
という発想です。

もちろん、それ自体は間違いではありません。
しかし、何も持っていない人に、いきなり考えさせても、たいていは迷子になります。
育成で必要なのは、まず“再現”です。
そのあとに“応用”
さらにそのあとに“創作”です。

つまり最初の段階では、

  • このサイズで
  • この目的で
  • このターゲット向けに
  • この要素を入れて
  • この雰囲気で作る

という条件を、できるだけ具体的に渡す必要があります。


実際の例に沿って手順を説明

今回は、横型動画をSNS投稿用にフレームを制作する実作業で実際の手順を紹介します。

たとえば、YouTube用やセミナー収録の横型動画が1本あるとします。
その動画をSNSで告知したい。
ただ、そのまま投稿しても埋もれる。
だから目を止めるためのフレーム画像や告知用のビジュアルが必要になる。

ここでスタッフに「画像作って」だけ伝えると、だいたい次のどれかが起きます。

文字が小さくて読めない。
色が多すぎて散らかる。
何を伝えたい画像なのか分からない。
動画の内容と画像の印象がズレる。
情報を詰め込みすぎて逆に弱くなる。

要は、作業はしたけど“伝わる画像”になっていないんです。

だから制作前に、管理者側が最低限整理して渡すべきものがあります。

それは、
「誰に、何を、どの一言で伝えるか」です。

これが決まっていないと、画像は整いません。
逆にここが決まると、デザイン経験が浅くても、かなり作りやすくなります。


実際の制作手順

① 使用用途のサンプルを用意する

まずは、どんな形の画像を作りたいのかが分かるサンプルを用意します。
未経験の人にとって、一番助かるのは完成イメージが見えることです。
今回は、横型動画をSNSに投稿する際に、上下にタイトルやテーマのテロップが入ったフレームデザインを想定しています。
まずは「こういう雰囲気のものを作りたい」という見本を用意します。

② ChatGPTなどにサンプルとプロンプトを入れて生成する

次に、サンプル画像と指示文をもとに、AIでたたき台を作ります。
たとえば今回は、以下のような内容で生成します。
<指示プロンプト>
YoutubeをSNSで投稿する際に、添付のような上下にタイトルキャッチやテーマ内容のテロップを入れたフレームを用意したいのですが、おしゃれなデザインにしたいです。

例えば、

上:働き方改革の今を生き残るために、女性だけのIT会社 社長が語る
下:女性だけの制作×マーケチーム「TheoLAB」

って入れて。

③ イメージが違う場合は修正プロンプトを入れる

1回で理想のイメージが出るとは限りません。
そこで、違うと感じた部分を言語化して修正します。

たとえば今回は、

<修正指示プロンプト>
デザインのプロ感も出して、スタイリッシュだけど色彩感も欲しいので、2色使いで表現できますか。フォントは見やすさも追求してゴシックで。

ここで大事なのは、「なんか違う」で終わらせないことです。

色、フォント、雰囲気、見やすさなど、どこをどう変えたいかを具体的に言葉にすることがポイントです。

④ AI生成した画像を真似てデザイン制作する

AIで方向性が見えたら、それを参考にしながら実際のデザインを作ります。
今回はAdobe XDを使用していますが、FigmaやCanvaなど、他のツールでも問題ありません。
大事なのは、AI画像をそのまま使うことではなく、構図・配色・文字の見せ方の参考にすることです。

未経験の人でも、見本があれば再現しやすくなります。
ここで少しずつ「こうすると見やすい」「こうするとまとまる」という感覚が育っていきます。

⑤ SNSのプロフィールグリッド表示サイズに合わせて配置を調整する

最後に、SNS上でどう見えるかを意識して微調整します。
せっかくデザインを作っても、プロフィールグリッドや一覧表示で文字が切れたり、主役が見えにくかったりすると意味がありません。
特にSNSでは、投稿単体だけでなく、一覧でどう見えるかも大事です。
タイトルの位置、文字の大きさ、余白、人物やメインビジュアルの配置を確認しながら調整します。仕上げの段階でここまで見ると、完成度がかなり変わります。

まとめ

デザインが苦手なスタッフに必要なのは、「センスを発揮して」と求めることではありません。
必要なのは、

  • 見本
  • 手順
  • 判断基準

この3つです。

未経験の人にとって、0から考えるのは一番難しい。
だからこそ、まずはAIでサンプルを作り、それを参考にしながら制作を進める。
この流れにするだけで、作業はかなり進めやすくなります。

「画像作って」だけで終わらせない。
少しだけ具体的に指示を渡す。
それだけで、スタッフの迷いは減り、制作の質も上がります。

育成は、丸投げでは進みません。
でも、型を渡せば人はちゃんと伸びます。

実際に、参考サンプルをもとにAIでイメージを出し、それをもとにフレームデザインを組み立てていく流れは、こちらの動画でもご覧いただけます。

【動画リンク】 https://youtu.be/R2FE1jCsnHQ