労働環境を整えるほど、人は育たなくなる?

こんにちは。テオドール株式会社 代表の西村です。
今回は、「労働問題と人材育成の矛盾」についてお話しします。
目次
■ 働きやすさを整える企業が増えた。でもその裏で何が起きているか。
ここ数年、労働に関する制度整備が一気に進みました。
企業側も「人材確保のために働く環境を良くする」という方向に舵を切り、
残業の縮小、有給取得の促進、柔軟な働き方の導入が広がっています。
当社も、残業ゼロ・有給取得率の高さなど、働く環境はしっかり整えています。
しかしその一方で、私はずっと気になっていることがあります。
“働きやすさ”が進むほど、“人材育成”が難しくなっている。
この矛盾です。
■ 「仕事とプライベートを完全に分ける」が当たり前になる危険性
最近は、
- ビジネス
- 労働
- プライベート
これらをきれいに切り分けるのが“正義”のように語られます。
もちろん、休むことは大事ですし、無理をする働き方は続きません。
ただし──
この考え方が行き過ぎると、人はまったく成長しなくなります。
なぜなら、
成長の源は「日々の生活の中での学び」だから。
■ 日常のすべてが“学びのヒント”になる
私自身、ずっと大切にしているのは
「仕事と生活は地続きで、日常から学ぶ姿勢が成長をつくる」
という考え方です。
たとえば…
- SNSを見ていて、流行や顧客心理のヒントを得る
- ショッピング中に「この売り場導線いいな」とマーケ目線になる
- 美容室、飲食店、アパレル…日常の“接客・動線・売り方”を観察する
- TikTokの編集で、動画のテンポ感の研究をする
こういう 「アンテナを立てる習慣」 が、ビジネスの質を上げ、アイデアの質を上げ、
結果的に“代替されない人材”をつくります。
でも今の日本は、労務問題に過敏になりすぎて、
企業側が「プライベートに口を出してはいけない」と極端に考えがちです。
その結果、
“意欲が育たない環境”を自らつくり出してしまう。
これがいま、多くの企業が直面している矛盾です。
■ 働きやすさが悪いわけではない。でも「ぬるま湯」では人は育たない。
誤解のないように言うと、
私は“働きやすさ整備”には賛成です。
ただし、それは “成長を放棄していい理由”にはならない。
給与をもらって働く以上、向上心・好奇心・学ぶ姿勢は欠かせません。
どれだけ環境が整っていても、
本人がアンテナを立てなければ、成長は止まる。
最近は企業側が慎重になりすぎて、
「求めすぎるとブラックと言われるのでは…」
「厳しく言うと辞めてしまうかもしれない…」
と引け腰になりがち。
でもその結果、
甘やかされた環境で育った人材は、市場価値が上がりません。
■ 「働きやすさ」と「成長要求」を両立させる
当社は労働環境の整備に力を入れています。
- 全員女性
- 子育て・介護のフェーズでも働ける
- 残業ゼロ
- 有給はほぼ希望通り
- 柔軟な働き方
- AIやツールで業務効率化
でも、それと同時に【成長】を強く求めています。
なぜなら、
環境だけ良くても、成長しない組織は必ず衰退するから。
私たちは、
「働きやすいからこそ、学ぶ姿勢が必要」
「時間に余裕があるからこそ、アンテナを立てられる」
と考えています。

■ まとめ:成長は“労働時間外”で決まる
最後に、私が一番伝えたいことです。
成長している人の共通点は、
“日常の中に学びを置いていること”。
これが習慣になれば、
仕事への理解度も、提案の質も、スピードも変わります。
働きやすい環境は必要。
でも、意欲や好奇心まで会社が代わりに育てることはできません。
AIが急速に進化する時代だからこそ、
「学び続ける姿勢」を持つ人だけが自分の価値を高めていく。
働きやすさと成長は、本来どちらも欠かせないものです。
環境を整えることは大切ですが、最後に未来をつくるのは“本人の意識”です。
あなたは、どちらを選びますか?
「働きやすさ」だけを求めるのか、
それとも「働きやすさの中で成長する」道を選ぶのか。

